泥棒猫ニャー

泥棒猫とは、人のものを盗む人のことである

 

大学生の頃、パチンコ&スロット屋でアルバイトをしていました。

パチスロ屋さんっていうのは、男の子のアルバイトさんが多いんですよね。女の子は4人に1人くらいの割合です。全従業員15人程度の職場としては少ない人数ですが、一回のシフトが約8時間とガッツリあるので、アルバイト先の職場恋愛は結構な確率で起こる職種だと思います。

 

そのパチスロ屋さんで、すらりと背が高く、爽やかなフリーターさんと出会いました。彼はパチスロ機のことも良く知っているし、常連さんや社員さんからも一目置かれる存在。バイトの女の子はみんな、多かれ少なかれ、素敵だなと思っていたことでしょう。

気さくで話しかけやすい彼に仕事のことをいろいろ聞いているうち、私も、冗談を言える間柄になりました。もちろん、他の女の子バイトさんも、彼とは笑って話せる仲なので、私だけが特別なのではありません。

でも、仲良く話す関係になったとしても、女の子たちは誰も彼をプライベートで誘うことはありませんでした。それは、彼は女性の社員さんと付き合っていたから…。

その女性は面倒見がいい方でしたが、明らかに元ヤン。19歳なのに確実に20代後半に見える見た目に、「なぜ彼と?」と思った女の子も多かったようですが、誰も敢えて、その仲に割っていこうとはしませんでした。

 

ところがある日、あの2人は別れた…かも?という噂が…。聞くところによれば、同棲同然だったのに彼女が彼の家を出たというのです。特に2人の関係に興味がなかった私も、「そんなんだ…」程度には噂話を耳に入れていました。

 

そんな噂が流れて数日、ある日、彼が突然、「付き合わへん?」と…。わざわざバイト先に波風立てる必要ないかと思い、その時の返事は「ごめんなさい」。でも、彼のマメなアプローチと、プライベートでも仲の良い若い社員さんに背中を押され、数か月、付き合うことになりました。

 

これには、同じ職場のバイト仲間もびっくり。「わ~彼女(職員さんの元カノ)に睨まれるよ!」「景品交換カウンターでシフトが一緒になったらどうするん?」と心配してくれるバイト仲間。「新しい彼女ってどの子?」と、午前中シフトで普段は顔を合わせないバイトの人まで、わざわざ私のシフトが始まるまで待っていたり、突然、有名人状態です。

 

そして、みんなの興味が治まってきた付き合って数か月後のある日、彼から「うちへ来ない?」とのお誘い…。意外と綺麗でおしゃれなインテリアなのと、大学生だった頃のものか、参考書などがある本棚を眺めていると、本棚の下の隙間からJKが履くような紺色のハイソックスが…。

 

私は特に衝撃も受けず、女の子を連れ込んでるのかなと思っただけだったので、それほど彼のことは本気じゃなかったのかも知れません。このハイソックスの持ち主はソックスなしで帰ったのかの方が気になりつつ、彼にお茶をごちそうになっていると、突然玄関から「ドンドン、ガチャガチャ」!

 

彼が「あ、しまった!あいつだ。まだ合い鍵持ってるんや!」と叫んだその時、ドアがバーンとあいて、パチスロ屋社員さんの元カノ登場。彼女は、靴も脱がずにツカツカと私のところに来たかと思うと、私の頬をバチーン!と平手打ちしながら「この、泥棒猫!」と叫びました。

 

私はもうびっくり。思いっきり平手打ちされたことより、「泥棒猫」という言葉を投げつけられたことに驚きが隠せませんでした。19歳の子の口から泥棒猫?!古くない?これって、言わゆる修羅場?本当に修羅場に立ち会うと、意外と客観的に自体を見ている自分がいました。

 

その後、元カノと少し話していた彼ですが、埒が明かないと元カノを押し戻し、ドアを閉めてロックをかけたところで、元カノの襲撃は終了しました。かなり体格のいい元カノに力から一杯平手打ちされたので、私の顔は腫れあがり、彼はそれをみて「ごめんな」。

 

そんなやり取りがあったこともあり、バイト先で元カノと顔を突き合わせるのが億劫になり、パチスロ屋の他の社員さんだけでなく、社長さんにまで同情されながら私はバイトを辞めました。大学3年生だったので、就職活動に集中する良い時期でもありました。

 

それから彼もそのパチスロ屋さんを辞め、別の仕事を始めたので、私たちの生活は少しすれ違うようになり、何となく自然消滅的に終わりを迎えました。最後に会った時、彼の「あいつ(元カノ)からまだ連絡が来るから、何となく可哀そうになってきてる。ヨリを戻そうかな」という一言で、「こいつ馬鹿じゃない?」と思ったことだけが心に残っています。ちなみに、ハイソックスの持ち主が、靴下なして家に帰ったのか、その前に、どうして靴下がないとこに気づいて探さなかったのかということはいまだに疑問です。

 

後にも先にも、泥棒猫と言われたことは、この時が最初で最後。当時のバイト先の仲間の何人かとは今でも付き合いがありますが、別れた理由を話していることもあり、『猫ちゃん』と呼ばれています。

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