どっちも好き…。でも、二兎を追う者は一兎をも得ず

大学の時、いつもニコニコしている男の子に出会いました。

彼はモテそうだな、と思ったのですが、特に私のタイプでもなかったので、完全にお友達。彼の付き合ってる彼女の話などを聞く仲になり、私は彼をマー君と呼んでいました。

でも、そのマー君の親友というのが、とっても私のタイプ。初対面からかっこいいなと思っていましたが、無口なタイプで、たまにニコッと笑うくらい。全然、私と話しをしてくれません。彼が唯一、気さくに話をするのは、昔から友達だというリコちゃんという女の子。リコちゃんは積極的な可愛い子でしたから、あの2人は、好き同士なんだろうなと思っていました。

ところが、リコちゃんと親しくなるにつれて、リコちゃんは私が気になっている彼を、『交際相手となるかもしれない男性』としては見ておらず、どちらかというと、かっこいい子を連れて歩いてることに満足している事がわかってきました。

マー君いわく、「あの2人?全然付き合うとか、そういうんじゃないよ。あいつ、優しいからさ、リコちゃんにお願いされて手を繋いだりとかしてるだけ。彼女も今、いないしね。リコちゃんは寂しがりなんだよ。でも、別に好きな人いるんじゃないかな」。そうです、実はリコちゃん、私の男友達に片思いをし始めていたのです。

リコちゃんはとても分かり易い性格で、私の男友達が来ると(良い意味で)態度豹変。これまで男の子っぽかった口調や仕草が急に女の子になってしまいます。そんな彼女を応援したいと思ったのですが、私は、彼には彼女がいること、そして、あの2人が別れることはあまり想像できないことを知っていました。

リコちゃんがいない時、マー君に、「私の友達、今の彼女とは別れないと思うんだよね。リコちゃんに相談されても、諦めた方がいいよっていうだけで応援できない」とぼそっと漏らした私。マー君は「分かるよ。俺も、今の彼女と色々あったから別れるって考えられない。俺がいないと駄目だから…」その答えに、こんな彼氏が欲しかったな、と思わず感じたのがいけなかったのです。

リコちゃんは、私の男友達を誘って一緒に遊びに行こうというお誘いを頻繁にしてきたので、なんだかリコちゃん抜きでは、前のように彼と一緒に遊びにいくのに後ろめたさを感じ始めてしまいました。そして、私のお目当ての彼とも以前と同じく手を繋いで歩きたがる彼女に、ややフラストレーション。その結果、マー君と次第によく話すようになっていきました。

そんな日々が続き、そのうちに大学はテスト期間に入りました。

心の内に色々モヤモヤ抱えながらも、みんなで仲良く試験勉強。ノートを見せ合ったり、問題を出し合ったり…。そのうちにふと視線を感じて顔をあげると、お目当ての彼と目が合いました。すると彼は、なんと顔を真っ赤にして視線をそらせるのです。あれ…これって?

そんなことがテスト期間終了までに2、3回ありました。期待が高まったのですが、彼の性格から考えると、もし私のことを気にしてくれてても絶対自分からは言ってくれない。彼が言うのを待っていたら、大学卒業しちゃうよ、と感じていました。

ある日、大学からの家路、相変わらず手を繋いでいるつないでるリコちゃんと彼。私の男友達を見つけて、手を離して駆け寄るリコちゃん。一人になった後ろ姿を見ながら、私は自分に「声かけなよ。彼の名前呼びなよ…」とつぶやいていました。

「〇〇くーん!来て!」と、先に彼の名前を呼んだのはリコちゃんでした。私は、この恋を成就させるには、まずリコちゃんを味方に付けなければいけないことを分かっていなかったのです。そして、後ろから私を呼ぶ声。振り返るとマー君でした。

「彼女と別れたんだ。だから、付き合って欲しい…」

マー君のことを「こんな彼氏が欲しい」と思っていた私。でも、実際に好きなのは彼の親友。そんな中途半端な気持ちでは、どっちと付き合っても駄目です。彼らは親友同士だから、マー君と駄目だったら、もうひとりの彼に…というわけにもいかないでしょう。私が、実は彼が好きなんだといったら、きっとマー君は協力してくれたと思います。でも…。ドラマではよくある展開だけど、あれって、結局、どんなことになったっけ?そんなことを思っていました。

マー君への返事は、とりあえず保留としましたが、数日後、きちんと伝えました。「付き合うということに踏み切れない、友達でいて欲しい」と。マー君は笑って「気になってくれてるんじゃないかなと思ったんだけどなー」と言ってくれました。彼は正しいです。私の気持ちがあっちこっちにフラフラして、曖昧な態度をとっていたからです。

数ヶ月後、「あいつも実は、気になってたみたいだよ。でも、俺が先に相談しちゃったから、あいつの邪魔しちゃった…」と言うマー君に、心の中で、知ってたよ、と答えました。

マー君は約束通り、大学を卒業した今でも友達でいてくれます。気になっていた彼とは会うことはありませんが、話に聞くところ、今でも親友同士のようです。

まさしく、二兎を追う者は一兎をも得ずです。そして、好きなら好きと、自分の気持ちを言わなきゃ駄目だ、あの時、リコちゃんよりも先に、彼の名前を呼んでたらどうなっていたかなと、今でも、彼の後ろ姿が思い出され、懐かしく思います。

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