私がペアーズを利用していたのは、大学3年生、21歳の時でした。
当時の私は恋人はおらず、また参加していたサークル、大学の友達など周囲にはいいなと思えるような人もいなく、しかし漠然と「恋人が欲しいなあ」と思っていました。
そんな思いを抱いていた時、YouTubeやSNSの広告を通して「マッチングアプリ」というものの存在を知りました。
多くの人と出会い話し相性が合えば交際することができる、もしかしたら理想の人と出会えて、付き合うことができるかもしれない、と夢を抱き私はペアーズに登録しました。
マッチングアプリは、FacebookなどのSNSと連携することでそのSNS内で繋がっているリアルの知人とはマッチングしない使用になっているのですが、初めてマッチングアプリを利用した私は、それでも尚身バレが怖く、顔出しをせずにマッチングアプリをはじめました。
顔がわからない分マッチの数もあまり多くはなく1日に5人とマッチできれば良い方でした。
しかし少ない出会いの中でマッチした人と会話を続け、気が合う人と頻繁にメッセージのやり取りをするようになりました。
その人の名前を仮にSさんとします。
Sさんは私とSさんの共通の趣味である読書を通して仲良くなりました。
私が好きな本を紹介し、Sさんにも好きな本を紹介してもらう。
そしてお互い同じ本を読んでいたらその本の感想を話す。
そんな穏やかなやりとりを1週間ほど続けていました。
Sさんは29歳、当時私は21歳で8歳の歳の差がありましたが、共通の話題を通しての心地よい距離感でのやりとりでした。
私自身、「8歳なんて大したことない、同じ20代だもんなあ」と気楽に考えていました。
やりとりを続けていたある日、Sさんから「直接会ってみませんか?」というメッセージが届きました。
ネットで知り合った人と実際に会ったことのなかった私は、すぐには決断することができずに、数日悩み続けました。
中高の学校の授業ではネットで知り合った人と会う時は十分注意が必要だと教えられ、比較的真面目な性格だった私は多いに悩み、しかし、実際に会ってみないと分からないことが多くあるだろう、かつこういうことも人生で一度ぐらい経験すべきではないだろうか、と思いSさんと会うことを決意しました。
Sさんにぜひ会いましょう、と返信をし、1週間後に渋谷のカフェで会うことになりました。
ついに約束の日になりました。
私は精一杯のおしゃれをし、胸を高まらせながら渋谷へ向かいました。
「Sさんとは話が合うしとても優しいし、どんな人なのだろう…!」と次第に気分は高まります。
しかし同時にSさんの外見を一切知らないという事実が小さな不安を生み、本当に会っても大丈夫なんだろうか…失礼だけどとんでもないブサイクな人だったらどうしよう…と不安と期待が入り混じり複雑な心情を抱いていました。
そんな感情を抱きつつ歩みを進め、ついに目的地であるカフェに到着し、マッチングアプリ上で「着きました」とSさんに連絡をとりました。
数分も待たずしてSさんからも「僕ももうついています」とのメッセージが送られてきて、加えてSさんが今着ている服の特徴が送られてきました。
私も自分自身がどのような服を着ているのか、髪型など外見の詳細を送りました。そして、私はSさんとついに対面したのです。
その時その瞬間、私は事前に外見を知っておくことの重要さを痛感しました。
人の容姿をあれこれ言える立場ではないことは重々理解しているのですがそれでも、当時21歳の私にとってある程度の理想は存在しており、マッチングアプリで知り合った29歳のSさんは、あまりにも、私の予想を超えて、「おじさん」でした。
29歳ってこんなにおじさんなんだ…!!と大きな衝撃を受けました。
この瞬間に「この人と付き合うことは絶対にないな」と思ったのですが出会って数秒で「すいません想像よりもあなたがおじさんすぎるので付き合うとか無理です、帰ります」と言うわけにもいきません。
そんなことは絶対にできません。
29歳の初対面のおじさんとデートという形でカフェでサシで話す、という21歳の何も知らない女子大生にとっては難易度の高いミッションが始まりました。
この出来事から数年たった今、何を話したか、詳細な会話内容は全くと言っていいほど覚えていません。
終始緊張し、何か話さなきゃ…今すぐ帰りたい…帰るための言い訳を考えよう…と頭の中でぐるぐる考えていたことだけを覚えています。
ただ、Sさんはメッセージのやりとりでも感じたように終始優しく、何度も私のことを「ショートカットが似合うね」だとか褒めてくれました。Sさんは本当に何も悪くないのです。
私の無知が招いた結果でした。
この経験を経て私が学んだことは、外見は重要であるということ、マッチングアプリを利用して人と出会う上で会う前に外見を知っておくことの重要性です。
いくら理想論で中身が大事だ!!言ったとて、初対面の印象のほとんどは外見の影響を大きく受けます。
そして顔も生まれも育ちも知らない人と初めて会う、となった時、判断基準として「外見」というのは思っている以上に重要なんだな、と実感した出来事でした。
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